一号蔵顛末 -後篇-

ラジオからの音声だけのニュースでは不安になるばかりで現実味を伴いにくいことを知りました。
映像がないから‘激甚災害’と言われてもどれほどのものなのか想像が付かないのです。
いかにテレビを頼りにしているかを思い知ることにもなりました。

しかし翌朝になり、新聞が配られると、そこが日本だと言われても信じられないような光景に新たな恐怖が生まれてきました。
壊滅状態となった三陸の町、原発、停電で大混乱の交差点。
それらに並んで崩落した一号蔵の写真も大きく報じられていました。

石孫に行ってみると、以前に一号蔵を修繕してくれた大工さんが来てくれていて、崩れた瓦礫を撤去し始めてくれていました。
出張に出たままの社長は帰路を断たれ、帰りのめどが立たないことも知らされました。

道路を塞いだ瓦礫を片付けてみると、一号蔵は屋根から下ろしきれなかった雪に埋もれていて全く全容がわかりません。

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今年は稀に見る豪雪で、1月いっぱい、仕込みをしないで雪下ろしをしたのに、下ろしきれず屋根に残っていた雪は未だ腰の高さまでありました。
一号蔵は三年前の宮城内陸地震で大きく傷み、補修をしました。
もともと古くて一番大きな蔵ですが、傷んでいたのに大量の雪、そこにきた大地震にとうとう耐えられず崩壊してしまったようでした。

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一週間近く掛かってようやく除雪が終わり、残りの瓦礫を取り除くと、奇跡が起きていました。
蔵の中にあった30基ほどの木桶がすべて無事だったのです。
更に、屋根より先に壁が崩れたらしく、木桶の蓋の役割を果たしてくれていて仕込んだもろみが守られています。
これを見て一気に士気が上がりました。
すべてが使えるとは思いませんでしたが、すべてダメになったわけではないと知ると、少しでも早くもろみを救い出すことに尽力しました。

一号蔵を建て直すことは難しい。そこで、隣の二号蔵を新たな仕込み蔵にすることに。
今まで倉庫のようにして使っていた二号蔵を片付け、内装をし直し、無事だった木桶を移して仕込みを再開するのです。

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覆い被さった屋根材を撤去してみると、思った通り、全部のもろみが無事だったわけではありませんでした。
中にはひび割れたり、瓦礫が入ってしまったり、使えないものも少なくありません。
それでも全部をなくしたわけではなく、また、検査の結果問題なく使えるもろみも沢山残っているのがわかると、蔵人の顔にも明るさが戻ってきました。

震災から3日後、社長も帰ってきました。さらにみんなに力が戻ります。

二号蔵には早速大工さんが入り、急ピッチで工事が進められていきます。

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失った蔵は戻りません。
しかし、新しいことがここから始められると思えば、むしろワクワクさえしてくるのよ、と、社長はそんな風に言いました。

私たちは仕込みを諦めません。
守ってきた伝統はこれからも守ります。そして、ここからまた何か新しいものにチャレンジします。

支えてくださる沢山のお客様がいる限り、決して諦めません。

一日も早く仕込みが再開できるよう、社員一丸となって尽力いたします。

15:29 | 蔵日記 | comments (2) | trackbacks (0) | edit | page top↑
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comments

# No title
v-22わなわなv-12を わくわくv-10に替える 社長さんらしいプラス思考v-238
応援します! というわけで新規顧客確保しましたぁv-225升とか1斗とか少量ですが、お試しが気に入ってもらえれば、ますます石孫応援団が増えますね。
我が家に避難している人たちに届いた義援米を使って、被災者さんも石孫の味噌をオーダーしました。みんなの祈りがこもった蔵ですもの、復興まちがいなしv-218
by: ゆっこ | 2011/05/09 20:24 | URL [編集] | page top↑
# >ゆっこ様
コメントありがとうございます。
直後はいろんな事が不安でしたが、今になっては
ラッキーが沢山重なっていました。
もうじき、桶を二号蔵に移す作業が出来ます。

新たにご注文下さいます皆さんに宜しくお伝え下さい。
by: いしまご | 2011/05/10 15:49 | URL [編集] | page top↑

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