一号蔵顛末 -前篇-

在りし日の一号蔵1

3月11日、午後2時半過ぎ。
その日社長は出張中で、事務所は二人で留守番中でした。
そろそろ帰りの電車に乗った頃だよね、と話していたとき、あの揺れが来ました。
揺れ初めてすぐに停電になり、建物の軋む音が恐ろしく、とにかく従業員・家族、全員屋外に避難しました。
岩崎の町中が揺れていて、その揺れはいつまでも収まりませんでした。

ようやく揺れが収まり、蔵人の一人が蔵の中を見に入り、すぐさま「一号の梁が落ちてる」と、駆けだしてきました。
これは大変だと、私も含め一号蔵に駆け込もうとしたのですが、蔵の入り口まで来たところで、“バチッ”というような、何かが弾けるような、叩くような大きな音が断続的に聞こえ、それが本能的に恐ろしいと感じられ、入り口までもう数歩なのに、足が動かなくなりました。
親方が「ダメだ、逃げろ!」と、大きな声で言い、全員その声に従いもう一度外に出ました。

従業員たちも、子供やお年寄りが家にいるため、様子を見に一度帰りたいと言い始め、蔵から離れてまもなく、近所の方が土煙が上がったぞ、というので、まさかと思って一号蔵に向かうと、私たちの誇りの象徴でもあった一号蔵は無惨に崩れていました。

在りし日の一号蔵2

写真は、仕込み中の蔵の様子です。

今年は豪雪に見舞われ、雪下ろしばかりの日々で仕込み作業も大幅に遅れていましたが、つい数日前から仕込みを開始したところでした。


あの大きな、勇壮な蔵が、瓦礫になっているのを見て、誰もが呆然となりました。
口も開けず、どうしていいのかもわからず、立ち尽くすしか有りませんでした。


-つづく-


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