二号蔵と蔵付き酵母

残暑が厳しいですね。
去年も暑かったですが、今年も残暑が長引いています。

ただ、朝、窓から差し込んでくる日光の角度が低くなっていたり、星の位置が変わっていたり、稲穂がどんどん黄金色になっていたりと、確実に秋の気配は近づいているのがわかります。

さて、大雪と震災のダブルパンチで損失した一号蔵に代わり、二号蔵が新しい醤油醸造蔵として生まれ変わろうとしています。
桶を運び込むところまではブログでもお知らせしておりましたが、運べばおしまいではありませんでした。

運び込む前にも洗浄はしましたが、屋外にさらされた桶をそのまま使うわけにはいかず、運び込んでから煮沸消毒をし、ここで問題が。
良くない菌もキレイになる代わり、百年の時を過ごした桶たちに棲み着いていた石孫特有の家付き酵母も除菌されてしまうことになります。

家付き酵母が石孫の醤油を育てるのに、どうしたらいいものか。

困っていると、救いの手がさしのべられました。

麹菌や酵母、そういった微生物を取り扱っておいでの「秋田今野商店」さん。
世界中を相手に、素晴らしい業績を積み重ねられている‘もやし屋さん’です。
(もやしと言っても、炒めて食べるアレではないですよ!!)

その秋田今野さんが、こういう非常事態なんだから、お宅の家付き酵母を培養しましょう、とお声を掛けて下さったのです。
ご活躍の場が広いのですから、きっと多忙を極めておいでの筈なのに、優先して石孫の家付き酵母を増やして下さったのです。
培養が出来た頃、六代目と社長が秋田今野さんにお邪魔をしました。

「こんな酵母、見たことないです、初めてです!」

それが第一声。菌のプロをもって初めてと言われるほど、石孫の家付き酵母は不思議な形状をしていたようで。
そして、形状ばかりでなく、香りも一般的な醤油酵母とは異なり、フルーティーだったそうです。

これでまた、以前と変わらぬお醤油が造れる。
今後醤油を仕込むとき、培養していただいた酵母を入れて、…徐々に桶にも酵母が棲み着くことになるでしょう。


一時はもうダメかと思ったのに、差し伸べられた助けの手。
こんなに有り難いことはありません。

諦めずに進もうと思います。


二号蔵は、桶と桶の間を歩くための足場…というか、敷き板を取り付ける工事をしているところです。
桶、ひとつひとつの形状が違い、ひとつずつ径も違うから、大工さんたちは苦労されている様子で…
思いの外時間がかかっています。

蔵ひとつでこれだけ時間がかかり、色々と問題をクリアしていかなければ進めないのですから、あれだけ甚大な被害を受けてしまった沿岸部の復興は、膨大な時間がかかってしまうんじゃないかと思うと心が痛みます。

でも諦めないで欲しいです。

日本ばかりでなく、世界のたくさんの国の皆さんが支援をしてくれているのですから、少しずつでも前に進むことが恩返しになると思います。

石孫も、皆さんの応援に突き動かされて頑張っています。



14:07 | 蔵日記 | comments (2) | trackbacks (0) | edit | page top↑